ISBN:4062123320
書籍形体:単行本
著者:恩田 陸
出版社:講談社
出版年月:2004/03
価格:1785円
滲み出る緊張感を書いたら恩田陸の右に出る人はいないんじゃないか。はっきりと表現されない物の無気味さを行間に生み出していく。隠匿が話に奥行きを与えている。水野理瀬が少女時代と訣別するシーンだが、目に見えないものと訣別するために、それを象徴とした行動を実際にする、体で感じられることに置き換えるっていうのが印象的だった。「 麦の海に沈む果実 」の続編であり、前作を読まないと分かりづらい箇所もあるが、テーマ自体は前作を読まずとも理解できると思う。人間の黒い悪の部分。意識的に、深い湖のように暗い部分を隠している黒さ。普段は表面に現れることがないが、ふとしたきっかけで黒さが呼び覚まされるような、潜在的な黒さ。
○黄昏の百合の骨
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062123320/nekotabihutat-22)
○麦の海に沈む果実
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062739275/nekotabihutat-22)
書籍形体:単行本
著者:恩田 陸
出版社:講談社
出版年月:2004/03
価格:1785円
滲み出る緊張感を書いたら恩田陸の右に出る人はいないんじゃないか。はっきりと表現されない物の無気味さを行間に生み出していく。隠匿が話に奥行きを与えている。水野理瀬が少女時代と訣別するシーンだが、目に見えないものと訣別するために、それを象徴とした行動を実際にする、体で感じられることに置き換えるっていうのが印象的だった。「 麦の海に沈む果実 」の続編であり、前作を読まないと分かりづらい箇所もあるが、テーマ自体は前作を読まずとも理解できると思う。人間の黒い悪の部分。意識的に、深い湖のように暗い部分を隠している黒さ。普段は表面に現れることがないが、ふとしたきっかけで黒さが呼び覚まされるような、潜在的な黒さ。
善など悪の上澄みの一すくいと理瀬が表現しているが、ある種類の人間は自覚していない黒い部分を持っていて、悪の上澄みの世界で幸せそうに生きている人間も底知れない黒さを持っているのだろう。巧妙に隠している人間よりも、暴発的な黒さが何処に向かうのか、何処まで膨らんでいくのか予測できない分、質が悪いのか。色々考えさせられた。
○黄昏の百合の骨
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062123320/nekotabihutat-22)
○麦の海に沈む果実
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062739275/nekotabihutat-22)
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