ISBN:4061823752
書籍形体:新書
著者:辻村 深月
出版社:講談社
出版年月:2004/06/08
価格:¥819
ある雪の日、学校に閉じ込められた男女8人の高校生。どうしても開かない玄関の扉、そしてほかには誰も登校してこない、時が止まった校舎。不可解な現象の謎を追ううちに彼らは2か月前に起きた学園祭での自殺事件を思い出す。しかし8人は死んだ級友の名前が思い出せない。死んだのは誰!?誰もが過ぎる青春という一時代をリアルに切なく描いた長編傑作!
講談社ノベルス裏表紙より引用

リンクさせていただいている方のレビューを読んで読みたかった作品。これは読む前にわくわく高揚期待していた通りに面白く、内容に関しては予想を超えたものがありました!読書中に恩田陸の作品を初めて読んだときのようだと思ったのは、多分何を恐れているのか分からないけれど確かに何かを恐れているという漠然とした恐怖とその存在に感じるそこはかとない悪意の所為だと思う。『何が分からないか分からない』『何が違和感の元なのか、間違っているのか分からない』というのは、恐怖の対象がはっきりしている時よりもずっと恐ろしいことだ。その証拠に恐怖は前半を過ぎ事態が徐々に明らかになるにつれ、胸を裂く切なさへと姿を変える。8人の高校生それぞれが1人の人間として抱える現実の重さや苦しみが伝わってきて、胸にチクリと懐かしい痛みを覚えた。

いったい誰が自殺をしたのか、なぜ8人は校舎から出られないのか、

なぜ8人なのか、なぜ自殺したクラスメイトを思い出せないのか。様々ななぜが頭に渦巻く。特定の記憶が失われ異常な状況に足留めをされる束縛感から生まれる恐怖と緊張がミステリとしては面白かった。全てカードは出揃いました。さていったいどういうことなのでしょうと云うような、正確にはこのような文面ではなくネタバレを防ぐために抽象的にしているが、挑戦状らしきものもあり、謎解きファンには嬉しいかも?

ミステリとしてだけでなく、学校生活で生じる人間関係のトラブルやいじめ、自殺等にも向き合っている為謎解き以外にも考えるところがあった。「そんなことで」と他人が思うことで、人間はいとも簡単に追いつめられてしまう。「そんなことで」と思って行動していることが、どうしようもなく他人を傷付け追い込んでいる可能性もあるのだ。誰かにとって何でもない言葉は違う誰かにとって凶器になりえる。自分が他人の発した他愛のない言葉で傷付くこともあるけれど、同じように私の何でもない言葉で誰かを傷付け、どうしようもなく悲しくさせてしまっていたら、そしてそれに気付かずにいたら‥悲しいことだと思った。(似たようなことを前の日記ねこたびふたたびに書いたような気がする)

○冷たい校舎の時は止まる (上)
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061823752/nekotabihutat-22/)

追記:似たようなことと思って探した記事。
http://oneijinusi.exblog.jp/168443/
日記を読み返すのって面白い。1999年頃友達としてた交換日記もたまに読み返すと面白い。

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