ISBN:4163186603
単行本
池田 真紀子
文芸春秋
1999/09
¥1950
”ここ”とはどこだね、アメリア?
君は私の脚であり、目でもある。忘れないでもらいたいね
[ボーンコレクターより引用]

⇒ ボーンコレクターの読後メモ。鑑識で集めた手がかりをもとにプロファイリングをして、故意に残された偽の証拠とか真実の証拠等の大小様々な証拠を分析して、犯人へつながる道を探していく。科学的に、ポワロでいう灰色の脳細胞を使って論理的に犯人を追跡する過程がおもしろかった。

作品中詳しく描かれている、現場から証拠を採取する鑑識のシーンでは鑑識方法などの技術を楽しむほかに、リンカーン・ライムとアメリア・サックスのやりとりも重要な要素となっている。物理的に接触するわけでもないのに、自宅のライムと現場のサックスの距離は離れているのに、とても近くに感じるのだ。そしてどんなラブシーンよりも親密さが漂う。信頼感や不思議な親密さを感じさせることだけでも、二人の鑑識が作品にはなくてはならないと思った。そして多分この二人の鑑識が、どこかで読んだわけでもなく私の単なる推測だから本当のところはよくわからないけど、このシリーズが人気を博し5作目まで続いた理由だと感じた。

鑑識をし証拠を集め分析し推測し犯行が進み、再び鑑識をし分析し推測し‥と続き、確かに得たヒントから論理的に真相へ近付く様は、論理パズルを解いているようで楽しいのだが、それだけではいささかクイズ的な味気なさに飽きてしまっていただろう。でもそこにライムとサックスの関係や魅力的な登場人物、犯罪の不可思議さが加わってとてもバランスが良くなっている。

本作品で感じたことを少し。犯罪を重ねる犯人の動機は理解できたが、重ね方には少しだけ違和感を感じた。思考のトレースが徐々に最後に近付くにつれ論理的に思えないというか、まぁ論理的なのだろうけどちょっとそのトレース無理矢理感が否めないわってよく考えると思えたのだが、そういうことを差し引いても余りある面白さだったし、私はそこを無視してこのシリーズを愛せるわってかんじでした。シリーズ全部読むの決定!
⇒ ボーンコレクター
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