ISBN:4044292051
書籍形体:文庫
著者:谷川流(ながる)
イラスト:いとう のいぢ
出版社:角川書店
出版年月:2004/09/28
価格:¥540

2作目よりちょっと前から4作目のちょい後までの合間のエピソードで、短編2本「エンドレスエイト」「射手座の日」と中編1本「雪山症候群」の計3本が収録された文庫。やっぱり断然面白くなってきたというのが感想です。私自身が文章(特に個性的な比喩)やキャラクターや世界に慣れたせいもあるのかもしれないけど、同じく短編集の3作目の感想で書いた物足りなさが今回は全くありませんでした。勢いもあるし、やっぱ話の中心がしっかりしていてわりとフレキシブルな感じが良いのでしょうね。エンドレスエイトという短編は私好みでした。Xファイルやパタリロ!やその他題名を忘れましたがウッドチャックが冬眠から目覚める日を中心としている映画や、結構様々なところで取り扱われている題材ですよね。敢えてぼかして抽象的に書いているのでさっぱり分かりにくいと思いますがスミマセン。

全て文句なしなんですが「雪山症候群」だけは、中編ではちょっと勿体ない気がしました。もうちょっと詳しく、時間経過もゆっくりとした長編で読んでみたかったです。取り上げられている数式や事実も実際のところ詰めが甘いのかあり得ないのかどうなのか、自分に知識がなく、その辺の判断が付けられないので(というのもありますが、まぁSFですし)細かいことを気にせずに純粋に楽しめました。

○涼宮ハルヒの暴走(5作目)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292051/nekotabihutat-22

1作目涼宮ハルヒの憂鬱
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292019/nekotabihutat-22/
2作目涼宮ハルヒの溜息
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292027/nekotabihutat-22/)
3作目涼宮ハルヒの退屈
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292035/nekotabihutat-22/
4作目涼宮ハルヒの消失
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292043/nekotabihutat-22
ISBN:4044292043
書籍形体:文庫
著者:谷川流(ながる)
イラスト:いとう のいぢ
出版社:角川書店
出版年月:2004/07
価格:¥540
断然面白くなってきたと私は胸を張って言えるけれど、人の好みはまちまちなので参考程度に読んでいただけたらと思います。本当良い感じに世界が広がってきて、あぁどんな具合に全てが収まって行くのだろうと、心の底からわくわく楽しみにしてます。現在広げられた世界に加えてさらにまだまだ秘められた可能性が感じられて、このシリーズ一作目「涼宮ハルヒの憂鬱」は第八回スニーカー大賞の<大賞>受賞作らしいのですが審査員はやっぱり凄いなとしきりに感心しました。その作品単体の魅力も見るのでしょうが、今後の可能性も審査の大きな要因なんだろうなぁ。‥よく分かりませんが。

冬休み直前の放課後SOS団で涼宮ハルヒがひとり今後のイベントについて仕切っていた。人に意見や同意を求めたかと思いきや、問いかけに対する返事を待つことなく計画はものすごい早さで立てられて行き、最後には結局涼宮ハルヒ一人で思いつき、決定し、団員を巻き込む形になるのだ。そんな状況をいい加減うんざりだとつっぱね、認めたくないが実は楽しいのではないか?という思いを必死に無視していた主人公キョンに恐怖が待ち受けていた。十二月十八日いつものように学校へ行ってみると涼宮ハルヒが消失していた。‥消失と言うのはつまり「涼宮ハルヒなどという生徒は最初からいないことになっていた」のだった。

「涼宮ハルヒの溜息」の感想で単品の作品としてはちょっと物足りないと書いたのですが、本作はシリーズの流れとしても無理なく、単品の作品としても面白かったと思います。私は普段SF小説を読むことがほとんどない(多分。SFだと認識しないで読んでいることはあるかも)のですが、この小説がこんなに楽しめるのなら、もしかしてほかのSFも好きなんじゃないかなぁ。特に今回キョンがトラブルを切り抜けた方法に関連した話は大好きですし‥。

○涼宮ハルヒの消失
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292043/nekotabihutat-22
ISBN:4044292027
書籍形体:文庫
著者:谷川流(ながる)
イラスト:いとう のいぢ
出版社:角川書店
出版年月:2003/09
価格:¥540

書店になかったのでとばしていた涼宮ハルヒシリーズ2作目。文化祭を控え、クラスや部活の出し物をめぐって(一部を除き)一致団結試行錯誤している時期、涼宮ハルヒ率いる「SOS団」が‥というよりは涼宮ハルヒが暴走的にひとりよがり的に一人で何を企んでいたかというと、それは映画製作だった。映画製作に伴い映画の中だけのフィクションであるはずの非現実的設定がどうやら世界に影響を与えているらしい。

涼宮ハルヒが退屈だと思えば世界を消滅させられる、涼宮ハルヒがこうであってほしいと願う方向へ世界をねじ曲げられる‥という本人は全く知るところではない迷惑な能力(というのか)の為に、主人公の少年キョン、未来からきた未来少女みくるちゃん、超能力者古泉くんと宇宙人長門さんの3人が四苦八苦する。

一作目もそうでしたが、前半はひたすらドタバタした学園生活&SOS活動で、中盤過ぎからようやくSF要素が絡んだ話の核に触れていきます。前作の説明とシリーズものとして今後の伏線が主で、本作単品の作品としてはちょっぴり物足りない感じでした。連作としては涼宮ハルヒの存在が果たして世界にどういう影響を及ぼしていくのか、涼宮ハルヒは造物主であるのか‥そうでないのか、その辺がとても楽しみです。

この後に三作目であった短編集を読むといろいろ補われて良かったかもしれないと思いました。

○涼宮ハルヒの溜息
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292027/nekotabihutat-22)

緑は危険

2005年2月16日 和書
ISBN:4150730016
書籍形体:文庫
著者:クリスチアナ・ブランド
訳者:中村 保男
出版社:早川書房
出版年月:1978/07
価格:¥672
理性を欠いた憎悪を培うのに、正義ぶった憤慨ほど都合のいいものはないのだ。

郵便配達員ヒギンズは七通の手紙をヘロンズ・パークへ届けていた。ヘロンズ・パークへの長い道のりを呪いながら、七通の手紙の差出し人を一人一人思い浮かべていた。その手紙の差出し人七人とヒギンズが一年後ヘロンズ・パーク陸軍病院で顔を合わせることになり、そのうちの一人は殺され、一人はその殺人を自白することになる‥とは知る由もなかった。

本格推理小説というのでしょうか。皆の目の前で不可解な死を遂げる被害者。時間と状況から7人にしぼられる容疑者全てにアリバイはなく、全員が犯人になりうる。論理的に推理していく様よりも7人の人間関係を中心に描いている点が、ただの謎解きに終わらない魅力を持っている。かといって推理小説としても優れており、はり巡らされた伏線や手がかりも巧みだった。読者を意識したいたずらというか、サービスなんだろうなぁとそれを織込ませた著者のユーモアには口角がちょっぴり上がった。

○緑は危険
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4150730016/nekotabihutat-22
ISBN:4062730979
出版形体:文庫
著者:森 博嗣
出版社:講談社
出版年月:2001/03
価格:800円
ぷはー。実にさわやかでよいです、好きです。(冒頭でさわやかさをあらわしてみた。) 一番好きな・・というか大爆笑したセリフがあって。事件の事を推理していく犀川助教授の話を聞いていた萌絵が、彼の華麗な連続技(推理)にメロメロになって
憶測につぐ憶測、推理につぐ推理・・・で、気が遠くなりそう。素敵・・・、なんかくらくらします。 そういうのにわたし弱いんです。まさに複雑系のシュミレーションみたいな・・・・・
と言うと、間髪いれず
君、特異体質?
と聞き返す犀川助教授のセリフが最高で、阿呆みたいに一人で喜んで笑っていましたね。

これは前知識なしに読んで欲しいです。何がすごいとかこういうのがどうとか聞くと多分ダメです。面白さが半減します。何も構えない心に直接どうぞ。すきっ腹のビールみたいに染みこみます。ぷはー。

○今はもうない/SWITCH BACK
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062730979/nekotabihutat-22

緑は危険

2005年2月15日 和書
ISBN:4150730016 文庫 中村 保男 早川書房 1978/07 ¥672

読書中。次は火車では、魍魎の匣ではなかったのかと思うけれども長いのでこの前にほかのを読んでおきたいと思ったのです。シャム双子の謎と涼宮ハルヒシリーズと冷たい校舎の時は止まると嘘つき男・舞台は夢とアガサ・クリスティをいくつか。あぁー、仕事に行かないでずっと本を読んでいたいです。

ユージニア

2005年2月14日 和書
ISBN:404873573X
出版形体:単行本
著者:恩田 陸
出版社:角川書店
出版年月:2005/02/03
価格:1785円

表紙を開く。表紙を開くと、遠い‥遠いと言っても距離ではなくて、心のどこかにあるのだけれどどこにあるのか、いつのことだったのか思い出せない記憶がひっそりと佇んでいる場所に引き込まれていきます。その場所はなぜか遠い遠い感じがするのです。どこか‥遠い場所で潮騒が聞こえました。背後の風景が自分の部屋ではなく海辺になってしまったようなそんな気がして、まるで頭の後ろで景色を見ているようでした。背後が潮騒とともに無限に広がっていく感覚です。表紙を開いたそこには、愛しいものを想って書き記した文章がありました。恋文なのか分かりません、ただ、ユージニアとは何、または誰だろうと頭に刻み込まれました。恋文なのか分からないけれど、とても穏やかな愛情を感じたのです。不思議ですね、本を読んだからそう思うのではなく、本当に潮騒が聞こえました。

そしてプロローグでは一変して恐怖を感じました。

一章ごとに登場人物が過去の事件を語っています。初めは誰に語っているのかは分かりませんが、過去のある時点を振り返りそれぞれがそれぞれの想いと記憶をもとに話をしています。そのうちの一章はその昔ある事件について書かれた本の引用だと思われます。とても懐かしい。でも振り返るのが恐いような気もします。徐々に浮かび上がってくる形を最後まで見届けても後悔しないのかと考えます。浮かび上がる真実は一つではありません。推理小説として読むとすれば、わりと早い段階で追うべき人間がはっきりとしますが、それはあまり重要ではないことです。追うものと追われるもの、想うものと想われるもの、水面をのぞいた鶴と水面に映し出された鶴…彼等の関係の根本にあるものが本当の真実なのでしょうね。

プロローグで感じた違和感と少女に感じた恐怖は私の中で青色と白色に置き換えられていました。青と白の話をしているのになぜしきりに赤が頭に浮かぶのだろうと不思議でした。

:余談:
プロローグでソーラ・バーチの映画「穴」を思い出しました。その映画と重なって、この少女はどちらなんだろうと無意識に思っていたのかもしれません。そしてなんとなく事件を思わせる赤を思い浮かべたのかなと思いました。
○ユージニア/恩田陸
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404873573X/nekotabihutat-22

どすこい。

2005年2月12日 和書
ISBN:408747755X
書籍形体:文庫
著者:京極 夏彦
出版社:集英社
出版年月:2004/11
価格:¥840

読了。うーん、なんていったらいいか分かりませんが、「おすもうさん」が活躍するパロディ小説です。活躍したか?という疑問が自分で書いておきながらわき上がっているのですが、とにかく
地響きがする−−と思って戴きたい……
で始まる「おすもうさん」絡みの話なのです。なぜいちいち「おすもうさん」に鈎括弧をつけているかというと、特に理由はありませんが本書を読んだら何となく付けてみたくなりました。タイトルは「四十七人の力士」「パラサイト・デブ」「すべてがデブになる」「土俵(リング)・でぶせん」「脂鬼」「理油(意味不明)」「ウロボロスの基礎代謝」です。タイトルはしっかりパロディですが、中身はうっすらそこはかとなくパロディ程度。一見短編集、でも実は長編かもしれない。読めば読むほど味が出てスピード感が増していきまして、(慣れてくるのか)かなり笑えます。読んでいてパタリロ!を思い出したのはギャグに話の進行を阻まれまくるところからでしょうね。作者と読者の我慢比べのような感じすら覚えるところが特に。「脂鬼」の婆さんがいい味だしてました。あとは「土俵(リング)・でぶせん」のLOOPするギャグ。

でもやめられないのよ寝る前のフライドチキン
普段はものを食べながらあまり本を読まないのにこの作品に限ってはいろいろ食べながら読んでしまい、すてきな装丁が油染みやら食べかすでどすこい。色に染まってます。

さらっと読める話なのに読み応え抜群で読了後にずっしり重量感を感じるのは作中に登場しまくり、幾度も想像させられた力士の肉厚なボディによるものかもしれませんけれども、それだけではなくて、作者の引き出しの多さにもよるのではないでしょうか。

きっと京極夏彦はクレクレタコラが好きなんですね。ものすごく描写に力が入っていたような、愛情がこもっていたようなそんな気がしました。クレクレタコラといえば思い出すのは、専門学生だった頃、よくゲームセンターに行ってUFOキャッチャーで遊んでいたのですが、その当時クレクレタコラグッズがありまして果敢に挑戦したもののピーナッツ(本書で初めて知ったのですがクレクレタコラの友達のチョンボって名前らしい。このピーナッツ。)の貯金箱しか手に入れられなかった思い出があります。その貯金箱はお金を入れると「クレクレ クレクレ」と妙ちきりんな電子音を発します。一枚入れる度にふた声「クレクレ クレクレ」発するので、五月蝿くて仕方ねぇやということでチョンボひっくりかえして裏蓋あけて、お金を入れてました。

本書の感想ではなくなってしまったところで、チョキンパチンストン。話はここでオシマイ。

:追記:
しりあがり寿の漫画がついてます。いつだったかな、高校生の頃だったかな、私はしりあがり寿のことをしりあがり痔だと思ってました。「しり」だったし‥って、どういういいわけだか。
○どすこい。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/408747755X/nekotabihutat-22
○クレクレタコラ DVD-BOX
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00006S25D/nekotabihutat-22
○四十七人の刺客
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043687036/nekotabihutat-22
○パラサイト・イヴ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043405014/nekotabihutat-22
○すべてがFになる
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062639246/nekotabihutat-22
○リング
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041880017/nekotabihutat-22
○らせん
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041880033/nekotabihutat-22
○屍鬼
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/410124023X/nekotabihutat-22
○理由
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101369232/nekotabihutat-22
○ウロボロスの基礎論
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061819801/nekotabihutat-22

理由

2005年2月10日 和書
ISBN:4101369232
書籍形体:文庫
著者:宮部 みゆき
出版社:新潮社
出版年月:2004/06/29
価格900円

 読みはじめてまだまもない最初のころに、ドキュメンタリーという手法からか、去年読んだ恩田陸の「Q&A」を思い出しました。「Q&A」も不可解な事件をひも解くべく様々な関係者に事件当時のことをインタビューするというドキュメンタリー的な形式でした(ただ「Q&A」の場合はタイトルどおり、質問と答えの会話だけで成り立っている話でしたが)。インタビューを受ける人の視点で事件が語られるので、一度に全体を把握できません。徐々に皆の発言をもとに読み手が事件像を作り上げていくわけなのですが、その辺が本作品を読むうちに「Q&A」を思い起こさせた理由でしょうね。

 核になる事件を中心に事件を取り巻く関係者たちが放射状に点在しています。その放射線状にいる関係者同士は、たとえすぐ近い場所にいても、事件を通してしか繋がらないこともあるんですね。中心の事件から伸びているたくさんの放射線。その放射線の遠い場所から事件までを遡り、放射線状に点在する事件の関係者が事件当時を回想しつつ語っています。はじめはだれに対しての語りなのかは分かりません。ただ分かっているのは、世間を騒がせることになった「荒川区一家四人殺し」の真相が、この語りの先には待ち構えているのだということだけ。様々な関係者が、事件についてまたは事件とは関係ないけれど、事件と同時期に起こっていた自分達の生活や、事件よりも遥か昔のいずれ事件と結びつくことになってしまった出来事について語るうちに、徐々に事件の核心へと近付いていくのです。淡々と語りながら、徐々に事件の核へと近付く様子が読んでいて不気味でした。恐かったといっても良いです。中心の真相は驚くべきところにあると匂わせながら物語は進みます。ある大きな事件が起こったとして、そのときは全く関係のない出来事だと思っていた行動も皆を震撼させた事件への道を進んでいたんだと、後で振り返った時に感じることがあるけれど、みながそうやって「荒川区一家四人殺し」を振り返っているのを読んでいるようでした。あのときにはもう時限爆弾は作動しはじめており、Xdayへのカウントダウンは既に始まっていたのだ、って感じです。私のたとえはちょっと、かなり、わざとらしいですけど。

 タイトルの理由。ひとつひとつは少しも関わりを持たないたくさんの理由が重なって、「荒川区一家四人殺し」という大きな事件が起こってしまった理由になったのかもしれません。そういう意味でのタイトルなのかなと思いました。放射線状にいる一見何も共通点がない関係者たちの人生がとても現実的で、なんていうか‥カラフルでした。最初に少し書いたけれど、インタビューなので主観的な話が続いていくわけです。事件に関わった人間の数だけ、事件があるようなそんな感じでした。おなじ事件なのですが、角度によって様々な局面を見せるわけで、面を組み合わせて立体的な形を作ることができます。ひとつひとつの主観的な意見はまるで同じことについて語っているようには見えないのですが、全て組み合わせていくと事件が見えてきて、あぁ同じことを語っているわけなんだな、と分かります。

 人が本当に何を考えているかとか、そんなの他人には分かりませんよね。ただ「あの人はああいう人だ」とか「あの人はああいうことをしている」とか他人が見たその人の評価‥というと語弊があるかもしれませんが、その人の一部分を組み合わせて人物像をつくっているわけです。断片と断片を組み合わせて、他人が判断したその人の人物像は、事件のときと同じようにやはり判断した他人の数だけあることになります。そして断片と断片が繋がらないパズルのピースだとしたら、人間は自然と繋がらないピースとピースの間にある絵を想像して埋めてしまうと思います。パズルでしたら、それはほぼ正しいことの方が多いかもしれませんが、もし人物のある一部分と一部分の隙間だったら、それは必ずしも正しいといえなくなるでしょうね。よくワイドショーや週刊誌で取り上げられる信憑性のあまりない話と同じで、想像して埋めた人物像はただの憶測にすぎないのかもしれません。‥というようなことを「理由」を読んで感じました。ある側からみた誰かの行動はとてつもなく突拍子もなく見えて、またある側からみたその誰かの行動にはちゃんと理由があるので分別あるように見えたりするのですね。(理由があればいいってもんじゃーありませんけどね。)

 おもしろかった!一番はじめに読んだのが「レベル7」だったのですが、そのときはもしかして文体が合わないかもしれないと思ったんです。でも全然そんなことはなかったですね。

○理由/宮部みゆき
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101369232/nekotabihutat-22
○レベル7/宮部みゆき
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101369127/nekotabihutat-22
○Q&A/恩田陸
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344006232/nekotabihutat-22)

どすこい。

2005年2月9日 和書
ISBN:408747755X 文庫 京極 夏彦 集英社 2004/11 ¥840
これから。あぁ。読みたい本が溜まってきました。早く読みたいです。





○どすこい。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/408747755X/nekotabihutat-22
↓これもこれから。
○The Big Four (Hercule Poirot Mysteries)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0425098826/nekotabihutat-22
ISBN:4757302800 単行本 東京大学赤門Economist インデックス・コミュニケーションズ 2005/01 ¥1,575

東大生が書いたやさしい株の教科書 (東京大学Agents著) が良かったので買ってみました。内容に期待。

○東大生が書いたやさしい経済の教科書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4757302800/nekotabihutat-22)
ISBN:4044292035
書籍形体:文庫
著者:いとう のいぢ
出版社:角川書店
出版年月:2003/12
価格:540円
2作目が本屋になかったので飛ばして3作目を購入。読んでいてどこかばらつきを感じ、滑らかでないなぁと思っていたら、これ短編集だったみたいですね。けれど短編集にしてはつなぎ目が滑らかだから、読み終わるまで気付きませんでした。短編集ということで、多分ですが、各キャラクターの個性とか能力を説明的に描いた上で学園コメディ色を押し出したのかな??きっと番外編みたいなものだったのでしょう。1作目の時よりもさらに漫画を読んでいるような気がしましたが、それはそれで楽しめました。作品の評価が分かれているのは、何を求めてこの作品を読んだのかの違いに拠るのではないでしょうか。

短編集だと知らずに読んでいたときは、うーん‥これはもしかしてただの学園変人コメディ色が強くなってきたのかなと、正直に言って少しがっかりしました。でも短編集ならば納得です。書店になかった2作目が読みたいです。

○涼宮ハルヒの退屈
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292035/nekotabihutat-22
ISBN:4044292019
書籍形体:文庫
著者:いとう のいぢ
出版社:角川書店
出版年月:2003/06
価格:540円
漫画のような印象で楽しく読めました。徐々に慣れましたが、最初は話し言葉の一人称に慣れなくて世界が広がりませんでした。涼宮ハルヒは眼中にない他人を全く徹底的に寄せつけず、じゃあ本人は何を寄せつけたいのかというと宇宙人とか超能力者だけであるのですが、宇宙人とか超能力者なんて居るわけがないから、そうすると読み手は思い込みの激しいただのぶっとんだ変人なのかと思うわけです。そんな外見だけは抜群に良いぶっとんだ変人ハルヒに主人公の男の子キョン(本名は不明)がただただ振り回されるばたばたした話なのか‥と思いきや、それだけでは終わらないんですね。文章や短さやあっさり感は、ライトノベルというジャンルゆえなのか、ライトノベル初体験なので分かりませんが、なによりストーリーの発想が面白かったです。世界の元になる芯がしっかりしているから、この第一作目からどう膨んでいくのかが楽しみな作品であると思います。ただの学園変人コメディにならずに、本作品で書かれたSF要素を追求した作品になることを期待したいですね。

現在5作目まで出ているらしいのですが、読んでみたいです。

○涼宮ハルヒの憂鬱
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292019/nekotabihutat-22/

黄色いアイリス

2005年2月5日 和書
ISBN:4151300597 文庫 中村 妙子 早川書房 2004/06/14 ¥630

読了。職場でインフルエンザ大流行中。私のコレはただの風邪で終わることをいのりつつ、感想はまた後日‥といって溜まっていかないようにしないといけませんね。


*黄色いアイリス/クリスティ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151300597/nekotabihutat-22

これからメモ

2005年2月4日 和書
ISBN:4044292035 文庫 いとう のいぢ 角川書店 2003/12 ¥540
読了。同じく後日書き改めます。



○涼宮ハルヒの退屈
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292035/nekotabihutat-22
ISBN:4044292019 文庫 いとう のいぢ 角川書店 2003/06 ¥540

読了。風邪引きましたので感想は後日書きます。



○涼宮ハルヒの憂鬱
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4044292019/nekotabihutat-22/
ISBN:4151300953
書籍形体:文庫
著者:アガサ・クリスティー
訳:乾 信一郎
出版社:早川書房
出版年月:2004/08/18
価格:756円

読了。久しぶりに読んだので内容を忘れていてびっくりしました。でもこんな‥こんなインパクトのある内容を忘れるなんてどういうことだろーか。同じ本で二度びっくりできる私の脳みそって幸せなのかもしれない‥ということにしておこう。

新しく創刊されたハヤカワのクリスティ文庫で購入したんですけど、そのせいかもしれない。字が大きくて印象が違う。小学生の頃初めて読んだクリスティ(ちなみに『スタイルズ荘の怪事件』 )の訳文の雰囲気が好きだったのですが、今回リニューアルされた現代的な訳でもいろいろ読んでみたいなと思いました。

○終わりなき夜に生まれつく
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4151300953/nekotabihutat-22
○アガサ・クリスティ日本オフィシャルサイト:早川書房
http://www.hayakawa-online.co.jp/christie/

禁じられた楽園

2005年1月31日 和書
ISBN:4198618461
書籍形体:単行本
著者:恩田 陸
出版社:徳間書店
出版年月:2004/04/21
価格:1890円

禁じられた楽園 34%。既に幾度もギクッとしている。すべてが不吉な場所へ向かいつつあるが、それが何処なのか、まだはっきりと分からない。

禁じられた楽園 67%。文章を読んで理解するということは頭の中で映像化するということなのだうか?言葉を理解するということは?言葉は言葉のままで理解していることがあるのかな?良く分からないけど禁じられた楽園を読んでいると文章が脳内で鮮やかな絵になるので、フラッシュバックみたいに強烈なシーンが頭に焼き付いて凄く怖い。文字を読んでいるのに自分で映像化してるから、「あれ?本当に絵を見たんだっけ?」と一瞬戸惑う。それくらい鮮やかな映像。小説なのに映画を観ているみたいに感じることはよくあるけど、これは映画寄りの小説ではなく、小説寄りの小説で、読みながら自分で映画化しているみたいな感じ。うーん、我ながら分かりにくいです。スミマセン。

禁じられた楽園読了。少し前に神はランダムに災いを宛てがっていると思ったことがあった。人々の人格や徳とは全く関係なしに神は神の仕事をする。人間を含めた生き物が少しも死ぬことがなかったら、地球は上手く循環できず、栄えることがなかったのだろうか?いずれにしろ、それは災いではなくて、感情が全く入っていないランダムな選択なんだと思った。「災いをもたらす」という表現は人間のものだと、そう思った。自らに、または同じ人類に無情な出来事、不幸な出来事が起こった時に、悲しくやるせない気持ちと共に無力さを感じることがある。そして災いが訪れたと思う。「ランダムな選択」と「災い」。同じ出来事に感情が入ることで違うものへと変化する。禁じられた楽園を読んで、そう考えたことを思い出した。長い前フリでしたね、スミマセン。大木の上に産み落とされた神の卵を神格化したのは人間で、そこに感情を注いだのもまた人間であったと。神の卵そのものに邪悪も善良もなかったのだ。人間が負のエネルギーを注いで汚したのならば、同じ人間が浄化することも可能なのだろう。しかしそれはどちらであっても神の卵の意識ではない‥と思った。さっぱりとした読了感で、「ふむ」と溜め息とともに一声漏らし、爽やかに本を閉じることができた。途中はかなり恐かったけど。

○禁じられた楽園
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198618461/nekotabihutat-22

黄昏の百合の骨

2005年1月29日 和書
ISBN:4062123320
書籍形体:単行本
著者:恩田 陸
出版社:講談社
出版年月:2004/03
価格:1785円

滲み出る緊張感を書いたら恩田陸の右に出る人はいないんじゃないか。はっきりと表現されない物の無気味さを行間に生み出していく。隠匿が話に奥行きを与えている。水野理瀬が少女時代と訣別するシーンだが、目に見えないものと訣別するために、それを象徴とした行動を実際にする、体で感じられることに置き換えるっていうのが印象的だった。「 麦の海に沈む果実 」の続編であり、前作を読まないと分かりづらい箇所もあるが、テーマ自体は前作を読まずとも理解できると思う。人間の黒い悪の部分。意識的に、深い湖のように暗い部分を隠している黒さ。普段は表面に現れることがないが、ふとしたきっかけで黒さが呼び覚まされるような、潜在的な黒さ。
善など悪の上澄みの一すくい
と理瀬が表現しているが、ある種類の人間は自覚していない黒い部分を持っていて、悪の上澄みの世界で幸せそうに生きている人間も底知れない黒さを持っているのだろう。巧妙に隠している人間よりも、暴発的な黒さが何処に向かうのか、何処まで膨らんでいくのか予測できない分、質が悪いのか。色々考えさせられた。

○黄昏の百合の骨
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062123320/nekotabihutat-22
○麦の海に沈む果実
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062739275/nekotabihutat-22

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